イテウォンという街が持つ、特別な引力
ソウル中心部に位置するイテウォン(梨泰院)は、もともと米軍基地周辺のインターナショナルタウンとして知られていた。 60年代から革製品の職人が集まりはじめ、現在では韓国随一の本革アイテム集積地として、国内外のファッション関係者が足を運ぶエリアとなっている。
ここで作られる革ジャンは「진짜 가죽(チンチャ・カジュク)」と呼ばれる。直訳すれば「本物の革」。 いわゆる合皮・フェイクレザーが市場を席巻するなか、イテウォンの職人たちは一貫して天然皮革にこだわり続けてきた。 その矜持が、今の時代にあらためて評価されている。
なぜ今、東京のストリートにイテウォン革が上陸するのか
近年の韓国ドラマ・K-POPブームが、ファッション面でも大きな追い風となっている。 「イテウォンクラス」を筆頭に、韓国コンテンツに登場するキャラクターが身につけるレザージャケットは、画面越しに視聴者の購買意欲を刺激した。
しかしそれ以上に重要なのは、「本物志向」への回帰だ。 ファストファッションが飽和し、サステナビリティへの意識が高まった2020年代において、 「長く使えるもの」「時間とともに育つもの」への需要が急速に高まっている。 その文脈でイテウォン発の本革は、単なる「韓国トレンド」ではなく、 ライフスタイルの選択肢として東京の消費者に届きはじめている。
「革ジャンって、着るほど自分のものになっていく感じがする。
合皮じゃ、この感覚は絶対に出ない。」
イテウォン革の特徴——何が「他と違う」のか
① 素材へのこだわり
イテウォンで扱われる革の多くは、フルグレインレザー(銀面革)またはトップグレインレザーだ。 革の表面を削らず、天然の凹凸や毛穴をそのまま活かして仕上げる。 そのため最初は硬く感じるが、着用を重ねるにつれて繊維がほぐれ、着用者の体にぴったりと沿うシルエットに変化する。
この「育てる」感覚こそが、一度知ったら離れられない理由だ。 3ヶ月着れば「自分の革ジャン」になり、1年経てば「一生の相棒」になる。 合皮ではたどり着けない、本物だけが持つ変化の美しさがある。
② 職人の手仕事
イテウォンの工房では、いまも革の裁断・縫製・仕上げを職人の手で行っているところが多い。 一着を仕上げるのに数日から一週間かかることも珍しくない。 機械縫製では出せない縫い目の硬さと立体感が、着用時のシルエットに直結する。
③ プライスレンジの合理性
日本の老舗レザーブランドと比較すると、イテウォン産の本革ジャケットは 同等以上の素材を使いながら20〜30%ほど割安に入手できることが多い。 これは産地と工房が近接していることによるサプライチェーンの効率化と、 ソウルの職人賃金構造によるものだ。「本物を、適正価格で」という需要に的確に応えている。
National Point が選ぶ、イテウォン革の基準
National Point では、イテウォンの複数工房と直接取引し、毎シーズン現地でサンプルを確認したうえで仕入れを行っている。 選定基準は厳格だ。
- 素材証明:天然皮革100%であることの産地証明が取得できるもの
- 縫製基準:ステッチ間隔・強度が一定水準を満たすもの(工房で目視確認)
- エイジング確認:同一ロットのサンプルを6ヶ月着用テストし、経年変化を検証
- デザイン適合:東京のストリートシーンに馴染む、過剰装飾のないクリーンなデザイン
この基準をクリアしたものだけが「TOUR RECORD」としてラインナップに加わる。 妥協は一切ない。それがNational Pointの約束だ。
「진짜만 취급합니다。本物だけを取り扱います。
それがNational Pointの、たったひとつの哲学です。」
2026年、東京の革ジャン市場はどこへ向かうか
2026年現在、東京の主要セレクトショップでは「韓国産レザー」を積極的に取り扱う動きが加速している。 かつて「韓国製」といえば「安い・量産品」のイメージがあったが、それは過去の話だ。
むしろ今は、「素材と職人に正直なブランドを選ぶ」という消費者の目線が イテウォン産革ジャンの価値を再評価させている。 渋谷・原宿のスナップでもイテウォン系レザーを見かける頻度が増え、 ストリートのトーンが少しずつ変わりはじめている。
韓国と日本のファッションシーンは、かつてないほど近く、濃く交差している。 その交差点に、National Pointは立っている。