キャットストリートとは何か——渋谷ファッションの震源地

渋谷から原宿へ抜ける細い路地、キャットストリート(Cat Street)。 正式名称は「旧山手通り」だが、セレクトショップや独立系ブランドのフラッグシップが軒を連ねるこのエリアは、 長年にわたって東京のストリートファッションの最前線であり続けている。

原宿・表参道と隣接しながらも、よりエッジが立ち、より個性的な服が集まる。 ここを歩く人たちのコーディネートには、トレンドよりも「自分なりの解釈」が優先される。 だから毎シーズン、このストリートのスナップを読めばおおよその「今」がわかる。

渋谷 Cat Street の様子
SHIBUYA CAT STREET — 個性が交錯する、東京ファッションの最前線

2026年春夏スナップから読み解く、5つのキーワード

5月中旬の週末に実施したスナップ取材(対象100人超)から、今季を象徴する5つのトレンドワードを抽出した。

01
脱・ファスト。本物素材の再評価
本革・天然コットン・ウールなど、「素材が正直な服」を選ぶ人が急増。
02
K-Fashion × 東京フィルター
韓国発アイテムをそのまま着るのではなく、東京流に着崩す「翻訳コーデ」が目立つ。
03
刺繍の復権
スカジャン・MA-1・デニムへの手刺繍。「手仕事感」のあるピースが人気。
04
モノトーン×差し色
黒・白・グレーのベースに、赤や青のアクセントを一点だけ入れるスタイリング。
05
「育てる服」思考
使い込むほどに味が出る服・靴・バッグへの愛着。一点集中の投資買いが増加。

「K-Fashion × 東京フィルター」という現象

今回のスナップで最も印象的だったのは、韓国ブランドのアイテムが「そのまま」ではなく 東京流の解釈でミックスされている点だ。

たとえば、MLB Koreaのロゴキャップをかぶりながら、ボトムスは古着のリーバイスとタビブーツ。 あるいは、ソウルのブランドのオーバーサイズブルゾンに、日本の職人系ブーツを合わせる。 韓国のアイテムを「ソウルの文脈そのまま」ではなく、東京の感性で再解釈しているのだ。

「韓国の服は好きだけど、全部K-POPアイドルみたいには着たくない。
東京っぽく着崩すのが楽しいんです。」

— Cat Street スナップ対象者 / 23歳 / 大学生

National Point的スタイリング提案——2026年春夏版

コーデ① ソウル×東京の「本気モノトーン」

TOUR RECORD の黒革ジャンを軸に、タートルネックのホワイトニット、黒スキニー、 ソウル発のロゴキャップという組み合わせ。 革の艶とニットの柔らかさのコントラストが、ストリートでも品のある佇まいを生む。 足元はホワイトソールのローカットスニーカーを合わせて、抜け感を出す。

コーデ② 刺繍スカジャン×ワイドデニム

JacksonSquare のスカジャンは、シンプルなコーディネートほど映える。 ブラックのスカジャンに、ワイドシルエットのヴィンテージデニム。 インナーは白Tシャツを腰でタックイン。刺繍の重さと全体のボリュームのバランスが肝だ。

コーデ③ 韓国ストリート×原宿テイスト

韓国発のオーバーサイズグラフィックTシャツに、ショートパンツ、タビシューズというミックス。 ハットをかぶってシルエットに縦のラインを加えれば、原宿的な「計算されたラフ感」が生まれる。 アクセサリーは厚みのあるシルバーリングを数個、というのが今季の正解。

このストリートが教えてくれること

渋谷・キャットストリートで感じた最大のメッセージは、「服に対してもっと正直になれ」ということだ。 流行に乗ることよりも、自分が本当にいいと思うものを、長く着るという価値観が、 このストリートを歩く人たちの選択肢に確実に浸透している。

その結果として「本物素材への回帰」「韓国×東京のクロスオーバー」「刺繍やハンドクラフトへの注目」という 現象が生まれている。そして National Point が届けたいものも、まさにその文脈の中にある。

ソウルで生まれた本物が、東京の感性で着られる。 そのクロスオーバーの最前線に、私たちは立ちたいと思っている。